転職をした訳だが、想像以上に苦労したのでその旨、誰かの役に立つかもしれないと思って Web 上に記録しておきたい。
当方、Web 制作会社に9年間勤めたフロントエンドエンジニア兼テクニカルディレクターである。年齢は30代半ば。受託案件ではなく、自社サービスやプロダクトの開発がやりたくて転職を決意する。
2017年4月、退職を上司に宣言した上で転職活動を始めた。 6月に現職業務終了、7〜8月に有休消化して退職、8月中旬に新環境で就業、という予定を建てていた。
まずはエージェントなどに頼らず、自分自身の力で転職活動を経験してみたいと思ったので、求人サービスにプロフィール登録してみた。 結果的に Wantedly、paiza、pasonatech、green を利用。
- 実働の割合的にはほぼ Wantedly 経由でのスカウトや応募だった。実働は会社訪問6件、面接2件
- paiza はサーバーサイドの仕事が多くほぼ自分とマッチしなかったが、実働は面接4件
- green は最低限のプロフィールだけ登録して一晩置いたら、匿名スカウトが何通も届いていたのでうんざりして使うのをやめた。よって実働なし。ロクにプロフィールを書いてもいないのに、スカウトをよこす人事って一体…。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるという感じ?
- pasonatech は10年前くらいに派遣社員をやっていたときにお世話になっていた派遣会社。サービス内の検索でヒットした求人に条件に合うものがほぼなかったので、応募はしなかった。よって実働なし
転職先の希望条件について
転職先について、以下のような希望があった。
事業面
- 自社サービスやプロダクトを活発に運営している
- 会社が目指すべき明瞭なビジョンがある
- 新規事業に対して積極的
- 娯楽事業(ゲーム、映画、音楽、ギャンブルなど)とマッチング事業は、やりがいを感じられそうにないので避けたい
- デザイナーが社内にいる
- 極力制作を外注に出さない
- 正社員が30人以上いる
文化・生活面
- スーツで出勤しなくていい
- できれば朝早く出勤しなくていい
- できればオフィスがダサくない
- できればパーティーとか社員旅行とか煩わしいイベントが多くない
待遇面
- 年収が現在より下がらない
- 一般的な福利厚生がある
活動概況
Wantedly、paiza、green ではプロフィール登録すると、すぐに何件かスカウトメッセージをもらった。まずまずの手応えを感じつつ会社訪問に行く。
正直、転職先のイメージなんて曖昧なものでしかなかった。何せ9年間、同じ会社に勤めていたのだから。軽く浦島太郎のような感覚であった。 実際にそのような会社に訪れ、担当の方と何人もお話をすることによって、どんどんと外界の様子が分かってきて、自分のしたいこと、したくないこと、企業の求めることが明確になっていくのを感じた。履歴書や職務経歴書などのレジュメも、そのフィードバックにより徐々に改善した…はずだと思う。
マッチングの難しさ
スカウトされたので面接に行くがマッチングしない、もしくは落選となる、ということはよくあった。(期待外れの人材でどうもすいません…)
マッチングしない原因としては以下のようなことが考えられた。
- 活動初期は自分の求める転職先のイメージが不明瞭であったが故、希望する事業内容と異なった企業にも話を聞きに行ってしまっていた
- 期待されるポジションが自分の希望する内容ではなかったので、違うポジションを希望したが聞き入れられなかった
- 担当者と明らかにウマが合わなかった(高圧的な担当者だった)
- 企業側が期待するスキルと、僕のスキルセットが違っていた。なのになぜかスカウトされているという状況
- 企業側の想定年収と、こちらの希望年収が合わない。
面接落選となるケースの原因はというと。
- 登録プロフィールが不十分だった?(実際にお会いすると魅力を感じてもらえなかった様子)
- 活動初期は面接の要領が悪く、自己 PR が上手くできていなかった。スカウトされているが故、「選考されている立場」を自分がよく理解していなかった
- 技術試験に落選した(スキルセットのミスマッチ)
ちなみに、こちらからお断りしたケースは以下のようなものがある。
- 求人サービスの説明に書いてあることと、実態が異なっていた
- 担当者が不誠実だった(当日約束の時間に現れなかった)
- 実際に話を聞いてみると、事業内容がとても不安定に感じられた
年収については年齢や人生のフェーズとも関連している。例えば今の僕が新卒社員並みの年収で働けるかというと、答えはもちろんNOだ。これは期待されるスキルや職務内容とももちろん絡み合っていて「その年収を希望するなら(その年齢なら)これくらいはスキルがないと」ということになる。
こういったミスマッチが生まれる原因の根本にはもちろん自分の至らなさがあるが、それを前提として別の原因の一つとして、採用担当者がプロフィールをよく見てくれていない、と感じることが多数あった。
求人サービス側で気軽にスカウトができるシステムになっているので仕方がない面もあるが、スカウトするからにはそれなりに責任を持ってしてほしいと思った次第。また paiza では、スカウトを辞退しても、また同じ会社からスカウトが届くことが何回かあった。辞退された人に再び送れるようになっているシステムも問題かと思った。
paiza ではサービス上でスキルチェック問題を解くことによって自分のランクが決定し、そのランクに合わせて企業からスカウトしてもらえる、という仕組み。僕はフロントエンドエンジニアなので Node.js で全ての問題を解いていた。だが、スカウトされる案件がほぼ PHP でのスカウトだった。確かに PHP の経験年数は登録しているけど…。それがウリじゃない、というところで勝負しなければならなかったという、なんというか不幸。
今時のWebサービスでは Node.js って需要なさそう、と思ってしまった。ちなみに求人の件数は Ruby on Rails エンジニアが一番という印象。猫も杓子も Ruby on Raild。ウーム…。
マッチングの話とはあまり関係ないが、スカウト後の面接で結果が出るまで1ヶ月くらい待たされて、結果は落選、というケースがあった。自分勝手で失礼な企業だと思った。すいません、これは愚痴だな。
技術試験について
数社では技術試験が課されたが、その内容の難しさに心を折られそうになる。 本当に優秀な人しか取りたくないのだ。企業側も真剣である。
ある1社のものは特定の日時にメールで課題が送られてきて、3時間後までに回答を返信せよ、というものだった。 論述問題を3問と、プログラミング問題2〜3問。ほぼサーバーサイドエンジニア向けの問題で、自分に馴染みのないものだったが…、技術問題は Node.js でどうにか回答。 案の定、力不足でこれは落選となった。
別のある1社のものはフレームワークごとプロジェクトファイルと SQL データが送られてきて、これこれこういうビジネスロジックを構築せよ、というものだった。 回答期限は一週間後くらいだったので、週末を使って問題を解く。自分がある程度知っている PHP フレームワークだったので、回答することはできたが…。SQL に明るくないという自分の弱点が浮き彫りになり、これも落選。 こちらの会社では落選の通知の際に、ダメなポイントを全てコメントして教えてくれた。なんと誠実な採点担当者だろうか。ありがとうございました。
それにしても「試験に落ちる」のはやっぱり凹むのである。
とはいえ自分の弱点が端的に理解できるし、企業が求めている人材は「こういうことができる人」ということもダイレクトに理解できた。なんとも学びの多い経験であった。
あとがき
結果的に求人サービスとは違った繋がりでご縁があり、転職先は決まった。(前のエントリーでご報告した通り)
なぜここまで苦労する必要があったのか、とも思う。エージェントに相談に乗ってもらったり、知人のツテを頼るなど、他にいくらでもやり方はあったはず。
おそらく自分は転職という人生の転機を他人に委ねるのではなく、「自分にできること十分にやる、やった」という納得感が欲しかったのだろうと思う。また、転職活動を進めていくうちに、どんどん慣れて上手になっていくというか、自分が上達していくことが楽しさを感じていたということもある。面接にしても、レジュメ制作にしても、やればやるほど上手くできるようになる。
ただ、結果が出るかどうかはまた別の話であった。どんなに面接が上手くできても技術試験で落ちたり、事業内容が自分の希望と違ったり…、と色々あった。
転職とは最終的にはその企業や担当者とのご縁であると、そう締めくくりたい。