セマンティックWebコンファレンス2009に参加してみました

kazuhitoさんのつぶやきにより知った、セマンティックWebコンファレンス2009に参加してきました。
主催は慶応義塾大学SFC研究所であり、会場は慶応義塾大学 三田キャンパス。プレゼンテーターは大学教授や企業の研究者の方々というわけで、アカデミックな切り口でWebを考える良い機会に恵まれました。まぁ、無料だったというのも参加の動機だったりしますがw
会場についてみると、教授と思しき研究者の方や、営業っぽいスーツの男性が多く、自分がカジュアルな格好をしてきたことに後悔・・・。

肝心の内容ですが、しがない実装屋である私にとっては難しすぎる内容ばかりで、残念ながら詳細なレポートを書くことができません。。。なお、プレゼンテーションに用いられたスライドは全て公式ページからダウンロードできます。
少しショッキングな「Web3.0」というキーワードも登場しましたが、テーマが「セマンティックWeb」ということで、「オントロジー」「OWL」「RDF」「メタデータ」といったキーワードがよく用いられていました。
まず「オントロジー」という言葉の意味が理解できていない自分にとっては、まずその旨のプレゼンテーションはちんぷんかんぷんであり、朝が早かったこともあり船をこいでしまう場面も・・・。

ただ、午後のプログラムは「実用化システムと研究プロジェクト紹介」というテーマで、実装屋の私にも共感できるお話がいくつか。例えば、東京電力・岡部雅夫氏の「業務知識の組織的蓄積を支援するオントロジー」では、次のようなお話を聞くことができました。

製造現場における2つの熟練

匠的熟練
旋盤でミクロン単位の精度が出せる等の極めて一部の熟練技能者しか保有していない技術・技能
知的熟練(問題発見・解決型熟練)
例えば、組立職場においては職場内のほとんどの職務をこなせ、品質不具合の原因を究明でき、生産設備の不具合も簡単なものであれば、保全部門に依頼せずにある程度は自分で処理できるような技術・技能

近年この「知的熟練」の重要性が高まっており、それをセマンティックな技術の活用によってその支援をしよう・・・というような内容だったと、思います。

また、パネルディスカッションでのメタデータ株式会社・野村直之氏の「エンタープライズ3.0に向けて」というプレゼンでは「Enterpriseにセマンティックが入る理由」と題して

外のネット(Web)で成功した“ソーシャル”は企業ではコケそう

検索・マッチングエージェント(サービス)をセマンティック技術で作って人手不足を補うべし

ということで、エンタープライズ2.0(企業SNS、ブログ、Wiki、RSS、Sブックマークなど)を導入した企業の支援技術としてセマンティックをあげています。ご本人がおっしゃっるには

通常業務に加え、「社内ブログを書け」とか「社内Wikiに投稿しろ」とか「社内SNSを活性化しろ」とか、こういった状況ではあんまりだ。ただでさえコストダウンで人手不足であるのに、これでは現場のスタッフが怒っても仕方がない。

ということであります。私も以前の職場では社内SNSを導入していたことがあるだけに、共感できるところがありました。

割と実用的なところではYahoo!の方からのSearchMonkeyについてのプレゼンテーションがありました。恥ずかしながらSearchMonkeyが何だか、あまりよく知らなかったのですが、これでよく分かりました。簡単に言うなれば、「サイト管理者が用意したメタデータを、専用のプラグインで処理することによって、検索結果をより使いやすく魅力的にする仕組み」といったところでしょうか。
メタデータにはMicroformatsが使えますから、私たちマークアップエンジニアが参加できる領域ですね。ちなみにこれは米ヤフーでのプロダクトですが、Yahoo!JAPANでも「導入鋭意検討中」だそうです。導入となれば、日本のWebにとって素敵なニュースとなることは間違いありません。

パネルディスカッションは、会場の参加者との質疑応答で幕を閉じました。最後の質問は「Web3.0/エンタープライズ3.0を代表するようなメディアは?」という印象的なものでしたが、パネラーの方々からは「明確にこれというメディアはない」とされた上で

  • 幅広く企業を超えたネットワークが必要
  • 一人で使っても役に立つ(「ソーシャル」ではない)サービスが登場するのでは
  • プライバシーの問題もあるが、トレーサビリティはもっと向上するのでは
  • 現在は「ハードを売ってナンボ。ソフトはおまけ」という商売をしているが、「サービスを売って、ハードはそれを動かすインフラ」という風に変わればいいのに・・・

というご意見が。

普段の我々の業務ではまず顔を合わせることのない「技術の上流にいる方々」のお考えに触れることができ、良い刺激を受けました。実務にすぐに生かすことはできないかもしれませんが、いずれ考えるヒントになるであろうと思っています。

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